九州電力川内原発第1号機、2号機稼働差止仮処分即時抗告決定を受けての原告団・弁護団声明(改訂)

2016/04/06

本日の九州電力川内原発第1号機、2号機稼働差止仮処分即時抗告決定を受けて、「原発なくそう!九州川内原発訴訟」原告団、弁護団より声明が出されました。

15:46改訂版をアップしました。


 

2016(平成28)年4月6日

「原発なくそう!九州川内原発訴訟」原告団

団 長 森  永  明   子

 

「原発なくそう!九州川内原発訴訟」弁護団

共同代表 弁護士 森     雅  美

弁護士 板  井     優

弁護士 後  藤  好  成

 

本日福岡高裁宮崎支部は、住民が申し立てた、川内原発1号機2号機の稼働差止仮処分決定に対する即時抗告を棄却した。

本件棄却決定は、応答スペクトルに基づく手法につき、地震動想定に用いる経験式が有するばらつきも考慮されている必要があると認め、断層の長さから地震規模を求める松田式にばらつきがあるとしながら、地域的特性を踏まえた地震動評価であることなどを理由に、過小評価となっているということもできないとしている。ばらつきの考慮が必要であるとしながら、結論としては、ばらつきについて適切に考慮していない決定である。また、震源を特定せず策定する地震動(Ss-2)について、震源を特定して策定する地震動(Ss-1)を補完するものとして、位置づけられているとして、Ss-2に求められる安全性の水準を引き下げてしまっている。この点、抗告人の請求を却下した原決定ですら、Ss-2につき、「付加的・補完的な位置付けとして理解することは相当ではない」と判示していることからさらに後退しているものである。

火山の問題については、新規制基準の一部をなす火山ガイドが不合理であること、過去に火砕流が到達したと考えられる原発は原則として立地不適とすべきであること、及び降下火砕物の影響評価において想定した値が10倍以上の過小評価となっていることを認めておきながら社会通念上そこまでの安全性は求められていないという理屈で申立てを棄却している。

また、改正された原子力基本法上、確立された国際水準を踏まえるべきことが明確に要請されているにもかかわらず、火砕流噴火のリスクは現行法制度上考慮されていないとした部分は、法解釈を誤ったものという他ない。

避難計画に関しては、実際の避難計画に実効性等の多くの欠陥があることを認めながら、避難計画が存在しないような場合でないかぎり、避難計画が合理性ないし実効性を欠くものであるとしても、安全性は保証できるという極めて乱暴な理由で稼働継続を認めるものである。

本日の棄却決定の結論及び理由は、東京電力福島事故の巨大さ、被害の深刻さ、を直視することなく、政府の原子力政策を安易に追認するもので私たちは到底認める事ができない。

福島第一原発事故により、原発事故がいかに甚大な人権侵害をもたらすか明らかになった以上、原発を再稼働するためには、極めて高い安全性が要求されなければならないことは自明である。

 私たちは、この不当決定に臆することなく川内原発の廃炉まで戦い続けることを宣言する。

 以上

 

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決定を受けての記者会見(宮崎弁護士会館)

 

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