川内原発行政訴訟(設置変更許可処分取消訴訟)提訴へ
6月10日、川内原発1号機、2号機の設置変更許可処分の取り消しを求めて、鹿児島県や熊本県、福岡県、大分県をはじめ、中部地方、関東地方、東北地方の33名が、福岡地方裁判所に訴状を提出した。
10時から弁護団と原告の方が出席し、東京の司法記者クラブにて記者会見を行った。
今年4月6日の川内原発仮処分の即時抗告棄却決定は事実誤認や論理矛盾が散見され、極めて不当ななものであった。しかし、裁判所はその事実認定において、原子力規制委員会の策定した火山ガイドの内容は不合理であると認定した。また、過去に火砕物密度流が到達した原発は立地不適であること、5つのカルデラ火山が破局的噴火を起こす可能性が十分低いとした規制委員会の審査の判断過程が不合理であること、姶良カルデラが近いうちに噴火する可能性があり、それが破局的噴火に発展する可能性が否定できないこと、非常用ディーゼル発電機のフィルターが目詰まりを計算するうえでの火山灰の待機中濃度の想定が10倍以上の過小評価の疑いがあるなど、一部について、きわめて正当な認定をした。にもかかわらず、裁判所は「社会通念」という論理を持ち込み、人格権侵害を認めなかったのである。
上記の事実認定を前提とすれば、川内原発の設置変更許可処分が違法であることは明らかである。
なお、この設置変更許可処分に対しては1500名もの市民が異議申し立てを行ったが、規制委員会は昨年12月10日に棄却決定を行った。新規制基準の分野は多岐にわたり、火山以外の分野においても、多くの問題点があることは、上記異議申し立ての住民の指摘でも明らかである。
しかし、今回は火山の論点に絞って、早期の勝訴判決を受けることが、再稼働一辺倒に傾いている現在の適合性審査の流れを食い止めるためにも重要だと考えた。
原告の柳北さんは、東京電力福島第一原発事故の被害に接して、裁判所が「社会通念上無視できる」などと、なぜ言えるのか、疑問を呈した。そして、自然災害と異なり、放射能による被害は何10年も続く、3・11から5年しかたっていないのに、政府は復興、原発再稼働にまい進するのがおかしい、と述べた。
新規制基準による適合性判断をした処分への取消訴訟は初めてのケースになる。今後の訴訟の動きに注目してほしいと弁護団は呼びかけた。
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