新・もんじゅ訴訟提起
12月8日は高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏れ事故から20年でした。「12月5日もんじゅを廃炉へ!全国集会」で共同代表である河合弁護士の連帯メッセージでも触れましたが、高速増殖炉もんじゅに引導を渡すために訴訟提起を行います。
昨日12月8日に、福井と東京で記者会見を開催し、訴訟提起と原告の呼びかけについてご報告しました。原告の呼びかけについては、このサイトでもご案内いたしますが、こちらに詳細をアップしました。
もんじゅ新訴について
高速増殖炉もんじゅについて、原子力規制委員会は平成27年11月13日、文部科学大臣に対し、「半年を目途として、現在の日本原子力研究開発機構から運営主体に切り替えよ。それが不可能ならば安全上のリスクを明確に減少させるよう抜本的に見直せ。」という勧告を行いました。勧告文書の中では、ナトリウム漏洩事故や9000以上の機器の点検漏れなど過去の事実が踏まえられた上で、「機構という組織自体がもんじゅに係る保安上の措置を適正かつ確実に行う能力を有していない」「早急に適切な措置が必要」等の認定がなされました。田中俊一原子力規制委員会委員長は同日の記者会見において、「看板の掛け替えは許さない」という厳しい態度で今後の対応に当たることを明言しました。
今回の規制委員会の勧告に対し、遅きに失したと批判することも出来るかもしれません。しかし「事業者の虜」だった旧組織時代のことを思えば、格段に安全性を考慮したものであることは誰も否定できないと思います。今回の規制委員会の勧告については、国民の生命、身体等の保護及び環境の保全という本来の任務に沿うものとして評価し、原子力規制委員会の委員長・委員並びに原子力規制庁の担当職員の方々に対して敬意を表したいと思います。
一部では、この勧告を受けてもんじゅはもう廃炉にするしかないとも予想されているようです。しかし、私共はそのように安心しておりません。
「原子力ムラ」の従来からのしたたかさからすると「替わりの受け皿組織を作り、トップは入れ替えるものの実際的な運営者は機構のまま」といった「ズル」をすることや、「適当に対策を講じただけで、『リスクは明確に減少させ、抜本的に見直した』と喧伝する」といった「強弁」をすると考えます。
このような「ズル」や「強弁」を許さず、将来にわたって放射能の恐怖に怯える必要のない社会を実現するためには、今きちんともんじゅに引導を渡す必要があります。そのためには、「『ズル』や『強弁』は許さない」という強い姿勢を社会に向けて発信して原子力規制委員会を支え、かつ勧告の趣旨を簡単に翻すことのないよう規制委員会を厳しく監視し、速やかに廃炉措置へ移行するよう導いていかなくてはなりません。
今般、新たにもんじゅ訴訟を提起することが、そのために有効かつ必要な手段だと考えるに至りました。
また、旧もんじゅ訴訟における平成17年5月30日の最高裁判決は、法律審としての枠を大きく踏み越えて過度に行政寄りの判断をした、司法史に残る汚点です。裁判所に対しては、福島第一原発事故の経験を踏まえ、この汚名をすすぐ適正妥当な裁判を行うことを強く期待しております。
平成27年12月8日
新もんじゅ訴訟弁護団
弁護士 海 渡 雄 一
弁護士 河 合 弘 之
弁護士 甫 守 一 樹
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