大飯原発差止訴訟控訴審第8回口頭弁論期日 事前記者レク
2014年5月21日に大飯原発の差止請求を認めた大飯原発差止訴訟の控訴審(名古屋高裁金沢支部・内藤正之裁判長)の第8回口頭弁論期日を、明日6月 8日14時から予定しております。
現在、一審原告(住民側)からの証人申請、検証申立、文書提出申し立てなどについて、裁判所から明日の期日では何らかの判断がなされるのではないかと思います。
昨日、一審原告からは、元・原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦氏による、一審被告関西電力株式会社の地震規模評価が過小である旨の陳述書を 提出しました。極めて重要な書証であり、この意味を多くの方に知っていただきたく、金沢と東京で事前レクを行いました。
住民側は、島崎邦彦氏による日本地球惑星科学連合学会2015年大会での発表内容を元に、入倉・三宅(2001)式(基準地震動評価のための式)によると地震規模が過小評価になる(第13準備書面)と主張していました。
これに対して、関電は準備書面(28)において、この島崎氏の発表内容と、関電の断層モデルを用いた地震動評価とが無関係であるかのような主張をしていたのです。この点について、島崎氏は陳述書において、①FO-A~FO-B~熊川断層についての断層幅や断層傾斜角についての関電の想定では、その不確かさの考慮を踏まえても、島崎氏の指摘の射程が及ぶこと、②関電が「詳細な調査」をしていても、入倉・三宅(2001)式の過小評価のおそれは変わらないと述べられたのです。
2014年5月21日の大飯原発差止判決(樋口英明裁判長)は、わずか10年足らずの間に全国20か所にも満たない原発のうち、4つの原発に5回にわたり、基準地震動を超える地震が襲ったことを指摘し、基準地震動想定の甘さを指摘しました。
住民側はどちらの式が正しいかなどの科学論争をしているのではないのです。明らかに過小評価(他の式の約4分の1)となる式をもちいることの問題点を指摘しているのです。大飯原発において、もし入倉・三宅(2001)式ではなく松田式など用いた場合、大飯原発における基準地震動は引き上げざるを得ないのは明らかです。
島崎氏は上記の学会発表以降、日本地震学会、日本活断層学会でも、繰り返し報告していました。今回、大飯原発について述べたことは、裁判所への強力なメッセージになります。明日の第8回口頭弁論期日において、裁判所がどのような進行をするか、注目してほしいと述べて記者レクは終えました。
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