ミサイル攻撃の恐れ及びそれに対し政府の破壊措置命令が常時発令になっていることだけを理由とする高浜原発運転差止め仮処分

2017/08/02

7月6日、ミサイル攻撃の恐れ及びそれに対し政府の破壊措置命令が常時発令になっていることだけを理由とする高浜原発運転差止め仮処分を大阪地裁に申請しました。その内容について、申立人本人と代理人弁護士による説明記者会見を同日、東京地裁記者クラブで行いました。

冒頭で、代理人の河合弘之弁護士から,今回の申請についての説明がありました。

東京 司法記者クラブ

自衛隊法82条の3 第3項にもとづく破壊措置命令は、ミサイル発射のたびに発令していては間に合わないため、昨年8月から常時発令状態になっている。これは、政府としての空襲警報と同じであり、東京では地下鉄が止まったり、新幹線が止まったり、各地で避難訓練をしている。その前に、原発を止めろよ、国がミサイル攻撃の危険を公式に表明しているのだから、止めておくことを求める裁判である,と説明しました。原発が1年運転されると、原爆の1000倍の放射性セシウムがたまる。原発が攻撃されると、これが放出される危険がある。

申立人の水戸喜世子さんは、長年、反原発・脱原発運動を続けてこられました。夫の故・水戸巌さんは、早くから市民・住民の側に立って、市民科学者として闘ってこられた専門家の一人です。水戸さんは高浜原発から80キロの大阪府に住んでいますが、福島第一原発事故の被害をみれば、原発事故による放射性物質によって汚染され、故郷を奪われる距離です。最近の北朝鮮ミサイルの関連で、政府が作成しているミサイルからの避難についてのコマーシャルに触れ、「私は戦争中には防空壕も掘ったし、防災頭巾をかぶって逃げたが、あのような訓練は全く意味がない。当時も堅固な建物に隠れるように言われたが、そのような建物も戦火で焼かれ、私自身の家も焼かれた。戦争中をしっている私たちの世代は、最近のこのような報道に恐ろしいと思う」と強く訴えました。

そして、井戸謙一弁護士は、「不都合な事実」から目をそらすのは許されないし、関電はミサイルへの対応は規制基準の中には認められないと言うかもしれませんが、関電には危険物扱う事業者としての社会的責任がある。また、3・11原発事故では東京電力約ににたいして損害賠償請求がなされましたが、もし、ミサイル攻撃に伴う事故が生じた場合は、何ら賠償も補償されない。少なくともリスクがある、政府自身が切迫していると認めている間は止めるべきと言う裁判であると説明しました。


7月27日14時半から、大阪地裁にて、第1回目の審尋期日が開かれました。

大阪 司法記者クラブ

期日後の記者会見では、河合弁護士から上記の申し立てた経緯や、審尋期日でのやりとりなどを説明いたしました。関電は答弁書において、申請書に対する認否をしなかったところ、裁判所より関電に対し、認否の前提として求釈明すべきことがあれば行い、認否をするように求めたことを説明しました。

申立人の水戸さんは、審尋はとてもフレンドリーな雰囲気だったこと、ご自身のご出身は福島県相馬郡新地町であるところ、福島第一原発事故で故郷を失ってしまったこと、北朝鮮のミサイル攻撃に備えるという訓練で、子どもたちはおびえている実情に触れ、ミサイルと原発を切り離して考えるべきではないと述べました。

井戸弁護士は、多くの市民から、ミサイル攻撃の間に原発を止める事はできないのかという声が寄せられており、その深刻な危機意識に基づいた裁判であると説明しました。

次回審尋期日は9月11日16時から大阪地裁(非公開)です。ご注目ください。


ご参考:この間の提出書面

債権者(住民側)

仮処分申立書(目録略) *差替え17/11/21 証拠説明書 準備書面(1) 証拠説明書2

債務者(関西電力)

H29.7.25答弁書 証拠説明書

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