10月の原発裁判 本日発売の週刊金曜日
本日発売週刊金曜日(9月30日号)に「みんなで傍聴10月の原発裁判」が掲載されています。
報告記事は、「福島からの避難者が被害の実態について証言」*と題し、大津地裁における、美浜、大飯、高浜原発運転差止請求訴訟の第34回口頭弁論期日での菅野みずえさんの証人尋問を報告しています。ブックレット『菅野みずえさんのお話』を書証で提出いたしました。また、菅野さんの陳述書などは福井原発訴訟(滋賀)ウェブサイトで読むことができます。福島第一原発事故の被害を直視すれば、原発の再稼働はありえません。*22/11/1報告記事リンク追加
今日9月30日は1999年に起きた東海村のJCO臨界事故の日でもあります。同年12月発表のウラン加工工場臨界事故調査委員会『原子力安全委員会ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告の概要』を読むと、臨界事故を受けて,原子力の安全神話や観念的な「絶対安全」から「リスクを基準とする安全の評価」への意識の転回を求められていること、安全最優先が最重要の原則であること、安全文化という安全確保を支える根本理念を浸透・定着させることが強く求められていること、事業者は的確な危機認識をもつべきこと、対象についての知識の不完全さを認識すべきこと等の指摘がされたことがわかります。これらの指摘を、原子力事業者らはキチンと警告として受け止めていたのでしょうか。
福島第一原発事故から10年後、「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(国会事故調)の委員長を務めた黒川清氏は、福島原発事故が、安全神話というよりも「安全願望」が引き起こした人災であること、行政庁が「規制の虜」となっていたことを打破しない限り、原発再開はあり得ないというメッセージを報告書に込めたが、原子力行政は、羊頭狗肉の「世界で最も厳しい安全基準」を作り出すばかりで、報告書の7項目の提言はほとんど顧みられず、「規制の虜」問題も残ったままであり、「原子力ムラ」は生き続けており、古びた中身はいまだ変わっていないと指摘しています(原発事故から学ばない日本…「規制の虜」を許す社会構造とマインドセット)。
元・原子力規制委員会委員長代理である島崎邦彦氏は、電力会社は真っ当な学者からすると、ビックリすることをやってくる、電力会社は規制において最低線を探ってくる、ごまかせるのであればそれでいいという感覚と思われる、安全文化が大事だというがそんなものはない、と発言されています。(「真っ当な対策があれば、原発事故はなかった」地震学者・島崎氏が見たもの)
この9月から公開された映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』で電力中央研究所に出向していた経験のある飯田哲也さんが、事故前から原子力が、東映太秦映画村(表面はハリボテで、中がスカスカ)と喩えられていたこと、基本設計は借り物、基準もアメリカからのコピペ、審査もテニヲハを直すレベルで、都合の悪いことは想定外にする、この先も危ういと話すシーンがあります。
「東大話法」と呼ばれる独特の言葉の空転する話法(例えば,自分の立場に都合のよいように相手の話を解釈する、都合の悪いことは無視する、いい加減で辻褄の合わないことでも自信満々に話す、羊頭狗肉、わけのわからない理屈で煙に巻くなど)があります。(『原発危機と「東大話法」‐傍観者の論理・欺瞞の言語』)。
訴訟において、被告である国や事業者の行う欺瞞的な主張は、まさに「東大話法」であり、言葉の空転・言い換えによって、自身をも思考停止に陥らせています。裁判所はそのような欺瞞に満ちた論理に惑わされず、原発事故の被害の実相、原発の危険に向き合って、判断していただきたいと、強く思います。
※アイキャッチ画像は先週号となります(Twitter画像未更新のため)
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