12月の原発裁判 本日発売の週刊金曜日
本日発売の週刊金曜日(11月24日号)に「みんなで傍聴12月の原発裁判」が掲載されました。
本誌では、10月24日に福岡高裁で行われた、川内原発の設置変更許可処分取消訴訟について、「証人採用決定で住民側勝利の可能性も」と題して報告しています。*12/6リンク追加
この川内原発設置変更許可処分取消訴訟について補足します。2019年6月17日に福岡地裁(倉澤守春裁判長)は住民の請求を退ける判決を下しました。この判決は、火山ガイドは不合理の疑いが残るとしながら、他方で破局的噴火については法令上考慮しなくてよいから火山ガイドは不合理ではないという、明らかに趣旨が一貫していない内容でした。また、これまでの民事訴訟における社会通念論を、行政訴訟において不合理に接ぎ木しただけの、極めてお粗末な判断でした。火山ガイドは巨大噴火を無視して良いとは言っていないと法律の専門家からも疑問が呈されました。火山の専門家からも厳しい批判が集中しました。住民らは控訴し、高裁での5回の口頭弁論期日を経て、進行協議期日では、住民側の申請した証人が何人か採用される見込みとなりました。
住民側は、本件適合性審査に関わった方として、元原子力規制委員会委員長代理でもある、東京大学名誉教授・島崎邦彦先生、原子力規制庁職員の安池由幸氏、櫻田道夫氏を証人申請。さらに、巽良幸先生(神戸大学高等研究院海共生研究アライアンス長)を証人申請しています。なお、被控訴人国側も安池氏、櫻田氏を証人申請しました。
昨年、新たに着任した久保田浩史裁判長に対して、本件処分の違法性、特に火山に関する専門的知見に係る主張立証の骨子について、住民側及び被控訴人国が、プレゼンしました(『週刊金曜日』2022年11月25日号)。しかし、裁判長は、本年になって、控訴人らが申請している島崎証人に対して、「受け止めについての尋問には消極的である」との発言。すなわち、証人の主観面を尋問する必要がないというのです。さらに、前回期日においても裁判長は、安池、櫻田氏についても、主観面についての尋問には消極との驚きの発言をされました。予定されていたはずの尋問ができないのではないか、という状況がこの10月24日で一転し、証人採用となりました。上記報告記事と併せてお読みください。
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