新刊『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』
明日3月24日、地震学者で元原子力規制委員会委員長代理を務めた島崎邦彦さんの新刊が発売されます。
共同代表の河合弘之弁護士より:
この本は地震本部が2002年に発表した「長期評価」(今後30年の間に日本海溝沿いのどこかで大津波を伴う地震が発生する確率が20%ある。警戒を要する。)の足を引っ張り、無力化しようとした男たち(原子力ムラの人たち)を実名入りで批判しています。
その男たちの策動の結果、福島第一原発の大津波対策は先送りになり、その間に3・11原発事故が起きました。それだけではなく、「長期評価」がないがしろにされた結果、太平洋岸の大津波対策が骨抜きとなり、油断が瀰漫し、1万数千人の津波の死者を出しました。
原子力ムラの策動は原発事故を引き起こしただけでなく、津波の被害を大きく拡大したのです。島崎先生はこのことも厳しく指摘しています。ぜひ、ご精読の上、多くの人に広めていただければと思います。
詳細は、青志社書籍サイト をご覧ください(この記事下部にも引用)。ご購入は、お近くの書店のほか、Amazon等を通じてお求めください。
書籍のチラシ [PDF]New
『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』
3.11の大津波から12年
渾身のノンフィクション
国の地震対策本部責任者で地震学者が内部から告発!
きちんと対策すれば、大津波地震による福島原発の事故は防げ多くの人たちが助かった。
しかし東京電力と国は、対策をとらなかった。
いったい、何があったのか? なぜ、そうなったのか?
そして、いまも状況は変わっていない。
二〇一一年の3・11大津波と原発事故は、多くの人たちの命を、暮らしを、家族と友を……全てを奪った。今もたくさんの人たちが苦しんでいる。
この災いは、どのようにして起こったのか。なぜ、止めることができなかったのか。やりきれない思いを胸の奥にとどめて、多くの人たちが忙しい毎日を過ごしているのではないか。
何が起こったのか。それを知って欲しいと思い、私はこれまで科学雑誌で書いてきた。この本には、これまで書いたことのまとめと、あたらしくわかったことを書いた。そして私が思ったこと、感じたことも書いた。この災害は人災だと思う。
大津波の警告は、二〇〇二年の夏、すでに発表されていた。この警告に従って対策していれば、災いは防げたのだ。3・11大津波の被害も原発事故も防ぐことができたのである。
「まえがき」より
まわりで、おかしなことが起こっている。それはわかった。
今思えば、まわりに多くの原発関係者がいた。その人たちは何が起こっているかを、わかっていたと思う。が、声をあげた人はわずかだった。その声は多くの人には伝わらなかった。もし私が背後の動きを察することができたらと、本書を書き終えてから想像する。結局、何もできなかったかもしれない。
大事なことは声をあげること、広く声を伝えること、そしてみなで支えることだ。本書がその一助になれば、これにまさる喜びはない。
島崎邦彦
青志社書籍サイトより
島崎邦彦さんは、原発避難者集団訴訟(千葉地裁)、東電役員らの福島原発事故刑事事件(業務上過失致死傷事件、東京地裁)、そして、大飯原発運転差し止め請求訴訟控訴審(名古屋高裁金沢支部)で証人としても立たれました。
この本は、岩波『科学』で連載された「葬られた津波対策をたどって」(2019年1月号〜2020年6月号)を著者加筆の上、副題として「3・11大津波と長期評価」を加えて,Web公開された「葬られた津波対策をたどって――3・11大津波と長期評価」に、新たに判明された事実をさらに加筆して、福島第一原発事故から12年を迎えたこの3月に発売されることになりました。
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