2月の原発裁判 本日発売の週刊金曜日

2025/01/31

本日発売の週刊金曜日(1月31日号)に「みんなで傍聴 2月の原発裁判」が掲載されました。2月6日の大津地裁での口頭弁論期日の時間に誤記がありました。正しくは【14:00】からです(11:00は間違いです)。申し訳ございません。

記事では、「火山学の水準を誤解した火山ガイド 異例の弁論続行、次回結審 川内原発許可処分は違法と題し、昨年12月18日の口頭弁論期日の報告しています。

12月18日の期日後の記者会見を兼ねた報告集会(福岡県弁護士会)

紙幅の関係で誌面ではご紹介できませんでしたが、記者会見で配布した「結審にあたっての談話」を掲載いたします。なお、この書面は結審にあたって準備いたしましたが、報告記事の通り、弁論続行となり、3月26日に結審となりました。末尾に会見での動画をアップしました。


川内原発控訴審結審に当たっての談話

2024(令和6)年12月18日
川内原発行政訴訟弁護団

 本日、川内原発行政訴訟の控訴審が結審しました。この機に、報道関係の皆さんに、ぜひ報道してほしいことがあります。
 この川内原発に関する行政訴訟の控訴審において、今年7月5日(金)、福島第一原発事故後、初めて、原子力規制庁職員の証人尋問が行われました。

 1人は、火山ガイドの原案を作成した元JNES職員の安池由幸氏です。原子力規制委員会は、現在用いられている令和元年火山ガイドについて、当初の平成25年火山ガイドから内容に変更はないと言い続けてきましたが、安池氏は、自分の作った火山ガイドの原案と、令和元年火山ガイドのもとになった、いわゆる「基本的な考え方」について、少し違うと証言しました。令和元年火山ガイドが、平成25年火山ガイドよりも改悪されたことは、今や明白となりました。

 もう1人は、新規制基準策定作業を統括した、櫻田道夫氏です。櫻田氏は元経産官僚です。櫻田氏の証人尋問調書は、ぜひ一度目を通していただきたいです。
 ここでお伝えしたいポイントは大きく2つあります。
 1つ目は、「専門家からお墨付きをもらうと、自分の責任で判断しなければならないという責任意識が希薄になってしまう、他人依存的な意識になってしまうので、福島第一原発事故の反省を踏まえて、専門家に頼らずに審査を行っている。」という証言です。
 しかし、福島第一原発事故の反省は、専門家が「問題がない」と言うと、規制行政がこれを鵜呑みにし、簡単に稼働を認めてきた、ということであって、専門家から「問題がない」と言われても、これを鵜呑みにせず、慎重に安全を評価する、ということであったはずです。
 これに対し、今の火山の問題は、専門家、火山学会から「問題がある」という声が続出しているのに、規制行政が「知見が確立していない」とか「趣旨が分からない」などといってこれを無視している状況なのです。これを、「福島第一原発事故の反省」というのは、明らかに反省という言葉の悪用ではないでしょうか。原発事故で被害に遭った福島の人々に対する冒とくと感じずにはいられません。

 2つ目は、社会通念についてです。「私自身は、以前から、巨大噴火によるリスクは、日本の国民に許容されているというふうに判断するしかないと考えていた。」と言いつつ、「それまで、規制委員会や規制庁で、社会通念という言葉を使用して、火山ガイドについて考え方を整理したことはない、裁判所の判決だったか決定だったか忘れたが、この社会通念という4文字の用語を使って説明されている文書があって、なるほど、この用語を使うとこういうふうに説明できるんだと認識して、これは、規制委員会の文書を作るに当たっても使える用語だなという話になった」と証言しました。櫻田氏個人の認識はさておき、規制委員会・規制庁としては、それまで社会通念など考えていなかったのに、福岡高裁宮崎支部決定や広島高裁決定等を見て、これを規制に取り入れようとしたことを証言したわけです。
 また、「(国民が本当にそのリスクを許容しているのか、調査検討したか)するまでもない。国民が許容しないなら、他の規制で巨大噴火を想定した対策が講じられるはず。」と言い、私たち控訴人代理人から、「一般的な危険施設と原発の安全を同列に考えているのか」と質問すると、「同列に考えてはいけないという理屈が私には分からない」とまで証言したのです。

 今日の期日の冒頭で、海渡弁護士が述べたように、原発の安全確保には、「確立された国際的な基準」を踏まえることが、法律上要求されています。それは、原発事故被害の特異性、特に、原発事故によって周辺環境に放出された放射性物質が、風や海流の影響によって、容易に他国にまで到達するという被害の広範囲性に求められます。そして、国際的な基準では、日本における破局的噴火のリスクは決して低頻度とはみなされません。日本の裁判官の、ガラパゴス的な社会通念で、破局的噴火のリスクを無視し、他国に甚大な被害を及ぼすことは許されません。まして、原発の安全は他の危険施設と同列でよいのだ、などという考えを国際社会が知ったら、日本は強い非難を受けるに違いありません。
 安倍元首相は、福島第一原発事故後の原子力規制について、世界最高水準の規制基準と言っていました。その実態がこれです。新規制基準に適合したとしても、原発は、他の危険施設と同レベルの安全しか確保されなくていいのだ、と、規制庁の責任ある立場の者が法廷で証言したのです。これを聞いて、国民の皆さんはどう思うのでしょうか。
 この事実を、是非しっかりと報道していただきたいと思います。私たち川内原発行政訴訟弁護団は、控訴審の判決において、この不誠実な姿勢が糾弾されることを確信しています。

以上

 

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