名古屋地裁 老朽高浜原発の設置変更許可処分取消を認めず
本日、名古屋地方裁判所民事第9部(剱持亮裁判長、佐久間隆裁判官、小野啓介裁判官)は高浜原発1,2号機の設置変更許可処分の取り消しを認めない判断を示しました。書面は順次アップする予定です。
判決要旨[PDF] *16:17 追加
判決正本[PDF] *18:24追加
末尾に弁護団声明を追加しました。*17:00
老朽原発40年廃炉訴訟の地裁判決に抗議する弁護団声明
本日、名古屋地方裁判所(民事第9部、剱持亮裁判長、佐久間隆裁判官、小野啓介裁判官)は、原告らが、高浜原発1号機、同2号機及び美浜原発3号機の運転期間延長認可処分等の取消等を求めていた事件について、原告らの請求を棄却する不当な判決を行った(一部の原告については原告適格がないとして請求却下)。
高浜原発1号機は、運転開始から昨年に50年を超え、同2号機、美浜原発3号機についても間もなく50年を迎える、日本で稼働する最も古い原発である。原発の運転期間を原則40年に制限し、例外的に20年の延長を認める制度は、福島原発事故の教訓を踏まえた大きな制度改正であった。原告らは、ただでさえ危険な原発に、さらに老朽化という二重の意味で危険であり、現在の原発の審査内容は、老朽化に関する審査が不十分であり長期運転における安全性を確保できないと裁判において訴えてきた。
しかしながら、裁判所は、被告国の主張を安易に認め、老朽原発について原子力規制委員会の審査には問題ないと結論付けた。
まず、本判決は、司法審査の在り方について、被告国に、新規制基準適合審査において用いられた具体的審査基準及びこれに基づく基準適合判断に不合理な点がないことの立証責任を負わせながら、規制行政の判断を安易に追認し、これらに不合理な点は認められないとした。福島第一原発事故後、安全を高め、規制行政に厳格な審査を行わせるよう原子力関連法令等が改正されたにもかかわらず、今や裁判所は同事故を忘れ、行政盲従の姿勢を鮮明にしている。司法権独立の精神に照らしてあまりにも不当である。
老朽化の問題に関しては、判決は各論に終始しており、原告らが主張した老朽化による総合的な危険性や型の旧さなどの総論についてはおよそ判示すらしていない。
原子炉圧力容器の中性子の照射による脆化に関する審査についても、基本的に被告国の主張を受け入れ、現状の規制基準は種々の保守性を有していて不合理ではなく、審査及び判断の過程にも看過し難い過誤、欠落があるとは認められないとした。
また、地震動に関する審査については、美浜原発3号機における震源が敷地に極めて近い部分について白木‐丹生断層と敷地全体との最短距離を600mと認定したことは正当であるが、これについて、被告国の後付けの理屈をもって震源が敷地に極めて近い場合に該当しないと判断したことは、原子力規制委員会が自ら示した2kmや1kmといった目安に照らしても、明らかに誤りである。
さらには、火山に関する審査では、原子力規制委員会は、現在の火山学において噴火の時期や規模を予測できないことを認めながら、分かることやできることだけに対処すればよいという前提に立ち、大山における過去最大規模の噴火(大山倉吉噴火)を考慮する必要はないなどとした。できることだけに対処してきた結果として福島第一原発事故は起こったことを、この判決は見落としている。また、令和元年火山ガイドは、平成25年火山ガイドを非保守的に変更したようにも読めるとしながら、後付けの「基本的な考え方」を根拠として、非保守的な変更ではないとした。後から理屈を考えれば、なんとでもルールを変更できてしまうという、法治主義国家として考え難い判断というほかない。
その他、電気ケーブルなどの問題においても、国の主張に追随する内容に終始しており、不当な内容と言わざるを得ない。
以上のような名古屋地裁の判断は、福島原発事故後の反省及び教訓を経て、同事故のような深刻な災害が万が一にも起こらないようにする、という法の趣旨や多くの市民の想いに反するものであり到底許容できない。弁護団、原告ら及び裁判を支える市民の会は、福島原発事故を決して忘れることなく、今後も老朽原発の廃炉を求めて、原発の危険性を訴え続けて行く所存である。
2025年3月14日
老朽原発40年廃炉訴訟弁護団
カンパのお願い
みなさまからの温かいご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
- 【郵便振替口座】
- 00160-6-290944
- 【加入者名】
- 脱原発弁護団全国連絡会
- 【銀行名】
- ゆうちょ銀行
- 【店名】
- ゼロイチキユウ店
- 【預金種目】
- 当座
- 【口座番号】
- 0290944
- 【口座名義】
- 脱原発弁護団全国連絡会
(ダツゲンパツベンゴダンゼンコクレンラクカイ)