関西電力に対し抗議、発言撤回申し入れ
本日、脱原発弁護団全国連絡会と高浜原発仮処分滋賀訴訟弁護団は以下の文書を関西電力八木社長あてに内容証明郵便及びFAXにて送りました。
また、東京の司法記者クラブで、脱原発弁護団全国連絡会の共同代表が出席し、会見を開きました(一番下にこの書面のPDFをアップしています)。
2016年3月22日
関西電力株式会社
代表取締役社長 八 木 誠 殿
脱原発弁護団全国連絡会
共同代表 河 合 弘 之
海 渡 雄 一
高浜原発仮処分滋賀訴訟弁護団
団 長 井 戸 謙 一
拝啓
時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
さて、報道によりますと、貴殿は、2016年3月18日、電事連の会長としての定例記者会見において、大津地裁高浜3、4号機(以下「本件各原発」といいます。)仮処分事件(以下「本件仮処分事件」といいます。)に関し、将来、仮処分を申し立てた住民側への損害賠償請求の可能性について「逆転勝訴すれば、検討の対象にはなりうる」と言及したとのことです。
「検討の対象になりうる」という表現は、断定は避けているものの、損害賠償請求をする可能性を示唆することによって、本件仮処分事件申立人らを恫喝するものであり、断じて容認できません。
申立人らは、私利私欲で本件仮処分を申し立てたものではありません。本件各原発の事故によって福島第一原発事故のような事態が起こることを恐れ、司法の立場から緊急にその審査をすることを裁判所に申し立てたのです。本件各原発で福島第一原発事故のような事態が起これば、申立人らは、故郷を追われ、コミュニティを破壊され、平穏な生活を根底から破壊されるばかりか、生命、健康すら脅かされることになりかねません。琵琶湖が汚染されれば、近畿圏1400万人は、その飲料水を失います。被害を受ける膨大な数の人たちのためにも、あるいは、子どもたちや将来の世代のためにも、申立人らは、本件仮処分を申し立てたのです。
本件仮処分事件は、約1年にわたって審理が続けられ、その間、4回の審尋期日が設けられました。申立人らと御社は、裁判所において正々堂々と主張を闘わせました。御社は、13通にわたる準備書面と200点を超す証拠を提出しながら、結局、本件各原発の安全性について裁判所を納得させることができず、本件仮処分命令が発令されるに至ったのです。
仮に将来、本件仮処分命令が覆ったとしても、申立人らが損害賠償責任に問われるのは、申立人らに故意・過失があった場合に限られます。本件各原発の運転を差し止める司法判断は、昨年4月14日の福井地裁決定に続き、今回の大津地裁決定が2回目です。二つの裁判所が運転差止めを命じたのですから、御社が申立人らを相手に損害賠償請求訴訟を起こしたとしても、裁判所が、申立人らに過失があったと判断することは考えられません。したがって、御社が、申立人らに損害賠償請求の可能性を示唆するのは、御社の損害を回復することが目的ではなく、申立人らを恫喝して仮処分申立てを維持することを断念させ、あるいは、今後、全国の原発に対して運転禁止の仮処分が新たに申し立てられることを牽制する目的であるとしか考えられません。
御社のような社会的責任ある大企業は、そのような卑劣な行為に及ぶべきではありません。本件各原発の運転の可否は、御社が今般申し立てた仮処分異議事件において、正々堂々と主張を戦わせ、その上で司法の判断に従うべきものです。私たち、全国で原発の廃絶のために闘っている脱原発弁護団全国連絡会及び高浜原発仮処分滋賀訴訟弁護団は、貴殿に対し、記者会見における上記発言を撤回されるよう、強く求めるものです。
敬具
関電に対する抗議文(pdfが開きます)
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