総選挙を終えて― 新年を迎えて
脱原発法制定全国ネットワーク代表世話人一同
今回の選挙結果は、脱原発派にとって大変厳しい結果となりました。しかし、私たちは、脱原発法の制定をあきらめてはおりません。以下、今回の選挙を総括し、今後の運動についてご提案申し上げます。
1 選挙結果について
さて、12月16日の総選挙結果は大変残念なものとなりました。
多くの世論調査で、国民の7-8割が脱原発を望んでいるとされていたにもかかわらず、選挙結果は原発推進を党の方針とする自民党の300議席近い大勝という結果となってしまいました。脱原発法の制定に賛同する政党と議員は、いずれも大きく議席を減らし、衆議院において私たちが確認しているだけで、当選者は26名に留まりました。
自民党は比例では、投票総数の27パーセント、全有権者の16パーセントの得票しか得ていないのに、議席の6割を占めました。小選挙区制のもとで死票があまりにも多いという弊害は際立ったものとなりました。
2 脱原発勢力が伸びなかった原因について
選挙直後の朝日新聞の報道によりますと、「脱原発を志向する有権者はどう動いたのか――。出口調査からは、原発ゼロ派の投票先が分散し、脱原発を掲げる政党の議席増に結びつかなかったことがわかる。原発が立地する13道県では、原発ゼロに慎重な層が自民を押し上げる傾向が全国よりやや強く出た。投票を終えた有権者に原発について「今すぐゼロ」「徐々にゼロ」「ゼロにはしない」から選んでもらった。全国では14%を占めた「今すぐゼロ」派と64%の「徐々にゼロ」派の比例区投票先は、維新、民主、みんな、未来など各党に分かれた。
自民以外の各政党は濃淡はあっても脱原発を掲げているため、原発ゼロ票は分散。また脱原発に慎重な自民へも「今すぐゼロ」派の16%、「徐々にゼロ」派の28%が投票した。有権者が原発問題だけを基準に投票先の政党を選んだわけではないことも浮かぶ。」などとされています。
脱原発勢力が四分五裂の状態で、一つにまとまれない状況の下で、自民党は公明党と選挙区調整を完全に行い、比較多数となることで、小選挙区での大勝を勝ち取ったといえます。
景気対策など他の要素を重視して投票した有権者がいたことも指摘され、脱原発は明確な争点とならなかったという見解も示されていますが、小選挙区制度のもとでの多数の死票がでたことと脱原発勢力間での選挙協力の不調が脱原発勢力の最大の敗因と言うことが許されるのではないでしょうか。
たとえば、自民党の幹事長石原伸晃候補が勝利した東京8区(杉並区)でも、石原氏の獲得した得票は47%で、脱原発の無所属山本太郎氏は25%、民主党の円より子氏は19%、共産党の上保匡勇氏は9%であり、脱原発的意見の候補の得た得票の方が多数を占めています。このような選挙区は他にも多数指摘できます。
3 ネット選挙の解禁を
多くの一般市民が、脱原発政策の実現のために選挙運動に参加し、この選挙を通じて選挙制度や公職選挙法による選挙運動制限に多くの疑問を感じました。
選挙運動の規制についても、ネット選挙規制によってHP、ブログ、ツイッターなどの利用が文書の頒布と見なされ、著しく制約され、さらに規制におびえて必要以上に自主規制してしまうという現象が広範に見られました。この点は安倍首相からも解禁の方向が示されており、速やかにネット選挙の規制を撤廃するべきです。
4 脱原発基本法の国会再提案を求めます
総選挙の結果を踏まえ、脱原発市民運動の内部では、次の参議院選挙で脱原発勢力をどうやって増やすかという議論も始まっています。
脱原発法制定全国ネットワークとしては、今後も衆院、参院での法案提出を目指し、再度夏の次の参議院選挙において脱原発政策を中心的争点に押し上げ、脱原発勢力の拡大を目指し、法案の成立を目指していく方針です。
自公政権の下で、再稼働だけでなく、原発の新増設すらが解禁されようとしています。このように、取り巻く情勢は厳しさを増していますが、私たちは旧来にもまして脱原発の旗幟を鮮明にして、各地の原発の再稼働を許さないための活動に取り組むともに、脱原発法の制定を求める活動にも取り組んでまいる所存です。
1月25日午前11時30分から、院内集会を開催し、次期国会への脱原発基本法の再提案に向けて、私たち市民と国会議員のみなさまとの意見交換を行いたいと考えています。
私たちの活動に対する変わらぬご支援をお願いいたします。